ザビートルで後悔する5つの理由と購入前に知るべき7つの注意点

ザ・ビートルは、デザインは非常に魅力的ですが、維持費の高さや故障リスクを許容できないなら後悔する可能性が高い車です。街中で見かけると思わず目で追ってしまう特別な存在感を放つ一方で、いざ購入を検討し始めると、ザビートルでの後悔という言葉が頭をよぎり、不安に感じる方も少なくありません。

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デザインという抗いがたい魅力に惹かれるものの、実際のところ高額になりがちな維持費や、突然発生するかもしれない故障修理代はどれくらいかかるのでしょうか。また、運転しにくいという噂や、日常使いでの乗り心地、十分な広さがあるか気になる荷室、そして後部座席の狭さといった実用面でのデメリットも気になるところです。

さらに、すでに生産終了しているため、今後のメンテナンス体制に不安を抱くのも当然でしょう。この記事では、そうした購入前のあらゆる不安や疑問を解消するため、ザ・ビートルで後悔しないための情報を網羅的に解説していきます。

記事のポイント
  • ザ・ビートルで後悔する具体的な理由
  • 維持費や故障など金銭的なリスク
  • 購入前に確認すべき中古車の注意点
  • 後悔しないための賢いモデル選び
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ザビートル購入は後悔する?よくある理由を解説

ザビートル購入は後悔する?よくある理由を解説

  • ザビートル購入で感じる後悔とは
  • 具体的な後悔ポイントをチェック
  • 避けられないデメリットと注意点
  • 維持費・故障・修理代の実態
  • ザビートルは本当に運転しにくい?
  • 乗り心地、荷室、後部座席の狭さ

ザビートル購入で感じる後悔とは

ザビートル購入で感じる後悔とは

ザ・ビートルを購入して後悔するケースは、残念ながら一定数存在します。その根底にある大きな理由は、唯一無二のデザインという「憧れ」と、実用面や維持費という「現実」との間に生まれるギャップにあります。

もちろん、多くのオーナーがそのアイコニックなデザインや、ドイツ車ならではのしっかりとした走行性能に高い満足感を抱いているのは紛れもない事実です。しかし、一般的な国産車と同じような感覚で維持できると安易に考えていると、予想外の出費や日々の使い勝手における不便さに戸惑う可能性があります。特に、輸入車特有の計画的なメンテナンス費用や、デザインを最優先したことによる実用性の低さは、購入前に深く理解しておくべき最重要ポイントになります。

後悔を避けるためには、このクルマの持つ抗いがたい魅力と、同時に存在するデメリットの両方を天秤にかけ、ご自身のライフスタイルやクルマに求める価値観に本当に合っているのかを、冷静に判断することが何よりも求められるでしょう。

具体的な後悔ポイントをチェック

ザ・ビートルの具体的な後悔ポイント
カテゴリ 具体的な内容
故障・費用 DSGトランスミッションやパワーウィンドウなど、電子機器の故障が多く、修理費用が高額になりがち。
実用性 雨天時にトランクを開けると荷室に雨水が流れ込む構造的な問題がある。
将来性 2019年に生産終了しているため、将来的な部品供給や専門的なメンテナンスへの不安。

オーナーが実際に「後悔した」と感じたポイントは、いくつかの代表的なパターンに分類できます。購入後のミスマッチを防ぐためにも、具体的な事例を一つひとつ見ていきましょう。

電子機器やトランスミッションの故障

ザ・ビートルに関する後悔の声で最も多く聞かれるのが、やはり故障に関するものです。特に、DSG(ダイレクトシフトギアボックス)トランスミッションの不具合や、パワーウィンドウの故障、イグニッションコイルなどの電子機器のトラブルは、代表的なウィークポイントとして広く知られています。これらの修理には高額な費用がかかることが多く、「デザインは気に入っているけれど、こんなに頻繁に壊れるとは思わなかった」という声につながってしまうのです。

雨の日にトランクを開けると荷物が濡れる

デザインを優先した設計の弊害として、日常使いにおける実用面での不満も挙げられます。その象徴的な一つが、雨天時にトランク(ハッチゲート)を開けると、ゲートの丸みを伝った雨水が荷室内に直接流れ込んでしまうという構造的な問題です。荷物の積み下ろしをするわずかな時間でも、大切な荷物が濡れてしまう可能性があり、これが日常的に繰り返されると大きなストレスを感じるオーナーも少なくありません。

トランクの雨漏り問題は「仕様」
これはザ・ビートルの構造上の特性であり、故障ではありません。そのため、修理で改善することは困難です。雨の日はタオルを常備しておく、ゲートを少しだけ開けて水を切ってから全開にするなど、ユーザー側での工夫が必要になる点を理解しておきましょう。

生産終了による将来への不安

ザ・ビートルは2019年に惜しまれつつも生産を終了しました。これにより、将来的な部品の供給体制や、専門的なメンテナンスを受けられる整備工場の減少に対する不安も、後悔の一因として挙げられます。特に、この一台を長く大切に乗り続けたいと考える人ほど、この点は無視できない大きな懸念材料となるでしょう。

避けられないデメリットと注意点

受け入れるべきデメリットと注意点
デメリット 具体的な注意点
2ドアの不便さ ドアが大きくて長いため、狭い駐車場での乗り降りに気を使う。後部座席へのアクセスも不便。
視界の制約 太いAピラーや丸いルーフラインにより、斜め前方や後方の視界が制限されるため、試乗での確認が必須。
目立つデザイン 個性的なため街中で注目を集めやすい。プライバシーを重視する人や、目立つのが苦手な人には不向きな場合がある。

故障とは別に、ザ・ビートルの「特性」として受け入れる必要がある、いわば仕様とも言えるデメリットも存在します。これらを許容できるかどうかが、購入後の満足度を大きく左右する分かれ道となります。

第一に、2ドアクーペであることの物理的な不便さです。ドア一枚一枚が国産の4ドアセダンなどと比べて大きくて長いため、狭い駐車場では隣の車にぶつけないよう、乗り降りの際に細心の注意を払う必要があります。また、後部座席へのアクセスは前席を倒して行うため決して楽ではなく、友人や家族など、人を乗せる機会が多い方には明確に向いていません。

次に、特徴的なデザインに起因する視界の問題です。特に、太く傾斜したAピラーや、後方に行くにつれて絞り込まれる丸みを帯びたルーフラインにより、斜め前方や後方の視界が物理的に制限されがちです。運転に慣れればある程度カバーできる範囲ですが、車両感覚に自信がない方は、購入前に必ず納得いくまで試乗し、ご自身の感覚とすり合わせることを強くおすすめします。

そして、この個性的なデザインは、良くも悪くも街中で非常に目立つという側面も持っています。所有欲を満たし、優越感に浸れるというメリットがある一方で、控えめに乗りたい方やプライバシーを重視する方にとっては、周囲からの視線が負担に感じられるかもしれません。

維持費・故障・修理代の実態

維持費・故障・修理代の実態

ザ・ビートルの維持を具体的に考える上で、避けては通れないのが費用面の話です。結論から言うと、国産の同クラスの車種(例えばカローラやシビックなど)と比較した場合、維持費は明確に高額になると断言できます。

その主な理由は、純正部品代や専門的な作業に対応するための工賃が割高であること、そして前述した故障リスクの高さにあります。以下に、年間維持費の目安と、代表的な高額修理にかかる費用の相場をまとめましたので、具体的な数字として把握しておきましょう。

ザ・ビートルの年間維持費シミュレーション(目安)
項目 費用目安 備考
自動車税 34,500円 1.2L/1.4Lモデル(総排気量1L超1.5L以下)の場合
車検費用(2年ごと) 約100,000円~ 重量税・自賠責・印紙代等の法定費用に、基本整備費用を加えた概算。交換部品が出ればさらに加算。
任意保険 約70,000円~ 年齢・等級・車両保険の有無による。輸入車は料率クラスが高めの傾向。
ガソリン代 約84,000円 年間8,000km走行、燃費15km/L、ハイオク175円/Lで計算
定期メンテナンス費用 約30,000円~ エンジンオイル・フィルター交換(年1回)、ワイパー交換など
年間換算合計(目安) 約268,500円~ これに加えて、突発的な修理費用が発生する可能性を常に考慮する必要があります。

覚悟しておくべき高額修理費用
上記の定期的な維持費に加えて、経年劣化に伴う故障が発生した際の修理費用も考慮に入れる必要があります。以下はその一例です。

  • DSG関連の修理(メカトロニクス等): 20万円~50万円以上
  • エアコンコンプレッサー交換: 約15万円~20万円
  • パワーウィンドウ修理(レギュレーター交換): 約5万円~(片側)
  • イグニッションコイル交換: 約2万円~(1本あたり)

これらの高額な修理が発生するリスクを常に念頭に置き、いざという時のための修理費用を別途確保しておくことが、安心して乗り続けるための重要なポイントです。

ザビートルは本当に運転しにくい?

運転のしやすさに関する両面の評価
運転しにくいと感じる点 運転しやすいと感じる点
  • 広い車幅:1,815mmの車幅は狭い道で気を使う。
  • 長いドア:駐車時に隣の車との距離に注意が必要。
  • 後方視界:デザイン上、死角が多くなりがち。
  • 高い剛性感:ゴルフ6譲りの頑丈なボディで安定感がある。
  • 安定した足回り:高速道路での直進安定性が非常に高い。
  • 素性の良さ:長距離運転でも疲れにくい走行性能。

「ザ・ビートルは運転しにくい」という声も聞かれますが、これには肯定的な意見と否定的な意見の両方が存在します。運転のしやすさは、ドライバーの感覚や経験、そして何を基準に評価するかによって大きく変わるのです。

運転しにくいと感じる物理的な要因

運転しにくいと感じる主な要因は、やはりその独特なボディ形状とサイズ感にあります。
まず、全幅1,815mmというサイズは、現代の3ナンバー車としては標準的ですが、日本の一般的な駐車枠(幅2.5m)では左右の余裕が少なく、ドアの開閉も含めて気を使う場面があるでしょう。
また、前述の通り、長く分厚いドアは狭い場所での乗り降りに物理的な不便を感じさせます。さらに、丸みを帯びたデザインのため後方視界が限定的で、特に斜め後ろは大きな死角となりがちです。バックカメラが装着されていない初期モデルでは、車線変更や駐車時に相応の慣れが必要になります。

運転しやすいと感じる本質的な魅力

一方で、運転がしやすい、あるいは「運転が楽しい」という意見も非常に多いです。その根拠は、基本骨格(プラットフォーム)を、世界的なベンチマークカーである「ゴルフ6」と共有している点にあります。この「PQ35」と呼ばれるプラットフォームは非常に評価が高く、その恩恵はザ・ビートルにも色濃く受け継がれています。
これにより、ドイツ車ならではの高いボディ剛性と、しなやかで安定した足回りを実現しています。高速道路での矢のような直進安定性は特筆もので、長距離運転でもドライバーの疲労を軽減してくれます。
Aピラーは太いものの、国産のミニバンなどと比較すると比較的立っているため、前方の見通しは意外と悪くないと感じる人もいます。最終的には、ご自身でステアリングを握り、市街地や高速道路などを試乗して判断するのが最も確実な方法です。

乗り心地、荷室、後部座席の狭さ

実用性(乗り心地・荷室・居住性)の評価
項目 評価とポイント
乗り心地 ゴルフ譲りの足回りで基本的に快適かつ上質。ただし、社外品のローダウンサス装着車は乗り心地が悪化している場合が多く注意が必要。
荷室 容量310Lと見た目以上に広く実用的。日常使いや2人での旅行には十分なスペース。ただし開口部の形状から高さのある荷物は積みにくい。
後部座席 大人の長距離移動は困難で、あくまで補助的(エマージェンシー)なスペース。ファミリーカーとしての利用は推奨されない。

実用性を評価する上で重要な、乗り心地、荷室の積載性、そして居住性について、さらに詳しく見ていきましょう。

乗り心地は基本的に上質で快適

ゴルフ譲りのしっかりとした足回りのおかげで、ノーマル状態での乗り心地は非常に快適かつ上質です。路面の細かな凹凸をしなやかにいなしつつ、カーブではしっかりと踏ん張る安定感のある走りは、多くのオーナーから高く評価されています。ただし、中古車市場では見た目を重視したローダウンサスに交換されている個体も散見されます。安易なカスタムは、この優れた乗り心地を著しく悪化させるだけでなく、他の足回り部品への負担も増大させるため、購入時には注意が必要です。

荷室は見た目以上に広く実用的

丸いリア形状から荷室は狭いと思われがちですが、ハッチゲートを開けると意外と奥行きのある広い空間が広がっています。その容量は310リットルと、ゴルフ6とほぼ同等の積載量を確保しています。これは、日常的な買い物や2人分の短期旅行の荷物であれば十分に積載可能な広さです。後部座席は分割可倒式のため、倒せばさらに大きな荷物を積むこともできます。ただし、開口部の形状から、高さのある荷物(例えば、大きめのスーツケースなど)は積みにくい場合がある点は留意すべきでしょう。

後部座席の居住性はあくまで補助的
デザインからも分かる通り、後部座席のスペースは決して広くありません。特に頭上空間(ヘッドクリアランス)と足元空間(レッグスペース)は、身長170cm以上の大人が長時間快適に過ごすのは難しいレベルです。あくまで短距離移動用のエマージェンシーシート、あるいは子供用、手荷物置き場と割り切る必要があります。ファミリーカーとしての利用をメインに考えている場合は、後悔につながる可能性が非常に高いでしょう。

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ザビートルで後悔しないための賢い中古車選び

ザビートルで後悔しないための賢い中古車選び

  • ザビートルは壊れない?故障リスク
  • 重要なリコール対象か確認する方法
  • 走行10万キロ超え個体の注意点
  • 生産終了後の部品供給とメンテナンス
  • 中古車がなぜ安いのか?その背景
  • 今後の値上がりに期待できるのか
  • ザビートルで後悔しない人の特徴

ザビートルは壊れない?故障リスク

ザ・ビートルの代表的な故障リスク
要注意箇所 症状とリスク
DSGトランスミッション 内部のメカトロニクスやクラッチが故障すると、変速ショックや走行不能に陥るリスク。修理は数十万円と高額。
ウィンドウレギュレーター 窓が閉まらなくなる、ドア内部に脱落するといったトラブルが発生しやすい。ドイツ車の定番ウィークポイントの一つ。
天井の内張り剥がれ 日本の気候との相性で接着剤が劣化し、天井の布が垂れ下がってくる。修理には内張りの全交換か張り替えが必要。

「外車は壊れやすい」という長年のイメージがありますが、残念ながらザ・ビートルもそのイメージから完全に脱却しているとは言えません。一部のオーナーからは「定期的なメンテナンスをしていれば、そんなに簡単に壊れない」という声もありますが、客観的な事実として故障リスクは同年代の国産車に比べて高いと認識しておくべきです。

特に中古車で購入する際には、以下の「持病」とも言える代表的なトラブルについて、そのリスクを十分に理解しておくことが重要です。

ザ・ビートルの三大ウィークポイント

  1. DSGトランスミッション
    ダイレクトでスポーティな変速が魅力ですが、その複雑な構造ゆえにトラブルも多いのが実情です。内部の制御ユニットである「メカトロニクス」や多板クラッチが故障すると、変速ショックが大きくなる、ギクシャクする、最悪の場合は走行不能に陥ることもあります。修理費用は数十万円単位と非常に高額になります。
  2. ウィンドウレギュレーター
    窓ガラスを上下させる部品で、ワイヤーや樹脂製のパーツが摩耗・破損しやすい傾向にあります。故障すると窓が閉まらなくなったり、ドアの内部に脱落したりします。これも多くのドイツ車に共通する定番のトラブルの一つです。
  3. 天井の内張り剥がれ
    日本の高温多湿な気候が、欧州車に使われている接着剤と相性が悪いことが原因とされています。経年劣化で接着剤が効力を失い、天井の布が垂れ下がってくる見苦しい状態になります。修理にはルーフライニングの全交換か、専門業者による張り替えが必要になり、これも決して安価ではありません。

これらの故障は、ある程度の確率でいずれ発生するものと捉え、購入後の修理費用としてあらかじめ予算を確保しておくことが、後悔しないための重要な心構えと言えるでしょう。

重要なリコール対象か確認する方法

重要なリコール対象か確認する方法

ザ・ビートルは、その販売期間中に複数のリコール(回収・無償修理)が届け出られています。中古車を購入する上で、これらのリコールへの対応状況を確認することは、安全に関わる絶対条件です。中でも最も大規模で重要だったのが、2019年に発表されたDSGトランスミッションに関するリコールです。

国土交通省の発表によると、このリコールはトランスミッション内部の油圧制御システム(メカトロニクス)の一部に製造上の不適切なものがあり、耐久性が不足しているため亀裂が発生。最悪の場合、油圧が維持できなくなり駆動力が伝達されず、走行不能になる恐れがあるという非常に重大なものでした。対象となるのは2008年から2016年にかけて輸入された多くの車両で、ザ・ビートルも多数含まれています。

リコール対応状況の確認は必須中の必須
中古車を購入する際は、検討している車両がリコールの対象かどうか、そして対象である場合はすでに対策作業が実施済みかどうかを必ず確認してください。
確認方法は主に以下の2つです。

  • 販売店に整備記録簿を確認してもらう: これが最も確実な方法です。リコール作業を行うと記録簿にステッカーが貼付されるか、記載がされます。
  • メーカーの公式サイトで検索する: フォルクスワーゲンの公式サイトには、車台番号(車検証に記載の17桁の番号)を入力してリコール等の未実施項目を検索できるページが用意されています。

(参照:フォルクスワーゲン公式サイト リコール関連情報)

未対策の車両であってもディーラーに持ち込めば無料で修理を受けられますが、安心してカーライフをスタートするためには、購入前にきちんと対策が済んでいる車両を選ぶのが賢明です。

走行10万キロ超え個体の注意点

走行10万キロ超え個体の注意点

中古車市場には、走行距離が10万キロを超えたザ・ビートルも比較的多く流通しています。車両本体価格が手頃なため非常に魅力的に映りますが、購入には相応のリスクと、それを上回る覚悟が必要です。

一般的に、自動車は走行距離が10万キロを超えると、様々な消耗部品が一斉に寿命を迎え、交換時期が集中する傾向にあります。
特に輸入車の場合、エンジンや足回りを支えるゴムや樹脂製のパーツ(エンジンマウント、サスペンションブッシュ、各種ホース類)の劣化が国産車より早く進むことがあり、オイル漏れや水漏れ、異音や振動といったトラブルが発生しやすくなります。実際に、10年10万キロ走行した車両で燃料ラインからガソリンが漏れるという危険な事例も報告されています。

これらの部品をまとめて交換する「予防整備」には、数十万円単位の高額な費用がかかることも珍しくありません。車両本体価格がどんなに安くても、購入直後に高額なメンテナンス費用がかかってしまい、結果的に「安物買いの銭失い」になってしまう可能性があります。10万キロ超えの個体を検討する場合は、価格の安さだけで判断せず、これまでの整備記録が完備されており、タイミングベルト(またはチェーン)やウォーターポンプ、燃料ポンプといった主要な部品が交換済みであるかどうかが、極めて重要な判断基準となります。

生産終了後の部品供給とメンテナンス

生産終了後の部品供給とメンテナンス

ザ・ビートルが2019年に生産終了したことは、今後の維持管理、特に部品の入手や整備環境にどのような影響を与えるのでしょうか。

まず、純正部品の供給に対する不安が挙げられます。一般的に、メーカーによる純正部品の供給義務期間は、法律で定められているわけではありませんが、生産終了後10年~15年程度が業界の目安とされています。過去のVW車では、20年を待たずに一部の部品供給が終了した例もあり、将来的(2030年代以降)に特定の純正新品部品の入手が困難になる可能性は否定できません。

しかし、現時点では過度に心配する必要はありません。ザ・ビートルは世界的に非常に多く販売された車種のため、優良な社外品メーカーによるリプロパーツ(互換品)が豊富に流通しています。また、基本コンポーネントを共有するゴルフ6の部品が流用できるケースも多いため、走行に必須となる重要な機関部品の供給が完全に途絶えてしまう可能性は低いでしょう。

むしろ部品以上に重要なのは、信頼できるメンテナンス先を確保しておくことです。もちろんディーラーは安心ですが、工賃が高めになる傾向があります。お住まいの地域で、フォルクスワーゲンに精通し、専用の診断機(VCDSなど)を完備した専門ショップを見つけておくと、質の高い整備を適正な価格で受けられ、維持のハードルを大きく下げることができますよ。

フォルクスワーゲンのクラシックパーツ供給
フォルクスワーゲンには、生産終了した旧型車を愛するオーナーのために、一部の部品を再生産・供給する「フォルクスワーゲン・クラシックパーツ」という部門が存在します。ザ・ビートルが将来的にこの対象となるかは未定ですが、メーカーとして歴史を大切にする姿勢があることは、長期保有を考える上で心強い要素と言えるでしょう。

中古車がなぜ安いのか?その背景

ザ・ビートルの中古車が安い理由
理由 詳細
高い下落率 輸入車特有のリセールバリューの低さ。「維持費が高い」「故障が心配」というイメージが中古車価格に反映されている。
生産終了 2019年の生産終了により市場への流通台数が増加し、需給バランスが安定。価格が大きく高騰しにくい状況にある。
ニッチな需要 デザインが個性的で趣味性が高いため、実用性を重視する大多数のユーザー層には響きにくく、買い手が限定される。

ザ・ビートルの中古車が、新車時の価格(約250万円~400万円)に比べて、現在ではかなり手頃な価格で流通しているのには、いくつかの明確な理由があります。

最大の理由は、輸入車特有の価値の下落率の高さ(リセールバリューの低さ)です。一般的に輸入車は、信頼性や整備性の観点から国産車に比べて中古車としての需要が限定的で、価格が下がりやすい傾向にあります。ザ・ビートルもその例に漏れず、前述したような「維持費が高い」「故障が心配」といったネガティブなイメージが、中古車市場での価格形成に大きく影響しているのです。

また、2019年の生産終了も価格に影響を与えた一因と考えられます。生産終了によって新車という選択肢がなくなり、それまで新車を購入していた層の一部が程度の良い中古車に流れる一方で、市場全体の流通台数も増加したため、需給バランスが安定し、価格が大きく高騰することなく落ち着いている側面があります。さらに、デザインが非常に個性的ないわゆる「ニッチな車種」であるため、一般的な実用性を最優先する大多数のユーザー層には響きにくく、ターゲットとなる買い手が限られることも、価格が比較的安価に推移している理由の一つと言えるでしょう。

今後の値上がりに期待できるのか

将来的な値上がりが期待できるモデルの特徴
モデル・条件 値上がりが期待できる理由
カブリオレモデル クーペに比べて生産台数が少なく希少。オープンエアの魅力は代替不可能で、根強い人気を誇るため価値が下がりにくい。
限定車・特別仕様車 「Dune(デューン)」や最終限定車「Meister」など、特徴的な装備やカラーを持つモデルはコレクション的な価値が高まる可能性がある。
高年式・低走行の極上車 内外装・機関ともに良好な状態の個体は年々減少していくため、その希少性から価値が維持・上昇しやすい。

生産終了した車種は、その希少性から時を経て価値が見直され、中古車価格が購入時よりも値上がりすることがあります。ザ・ビートルに、そのような「資産」としての可能性はあるのでしょうか。

結論として、一部の特定のモデルや条件の個体では、将来的な値上がりが期待できる可能性は十分にあります。
特に、以下の特徴を持つモデルは、今後価値が上昇していくかもしれません。

  • カブリオレモデル: クーペに比べて元々の生産台数が少なく、オープンエアの魅力は代替不可能です。季節を問わず根強い人気があります。
  • 限定車・特別仕様車:Dune(デューン)」や最終限定車の「Meister(マイスター)」、スポーティな「R-Line」など、特徴的な装備やカラーを持つモデルはコレクション的な価値が高まりやすいです。
  • 高年式・低走行の極上車: 最終年式(2019年)に近い、内外装・機関ともに状態の良い個体は年々確実に減少していくため、その希少価値は着実に高まっていきます。

実際に、8年落ちで走行距離が少ない車両に100万円以上の高額な買取査定が付いたという事例も報告されており、ザ・ビートルの持つ普遍的な価値が、単なる「古い中古車」としてではなく、市場で再評価され始めている兆候も見られます。初代ビートルのように数十年を経てクラシックカーとして不動の地位を築くかは未知数ですが、その唯一無二のデザインやコンセプトを考えると、今が価値の底値である可能性も否定できません。

「ザビートルで後悔する5つの理由と購入前に知るべき7つの注意点」のまとめ

ここまで解説してきたメリット・デメリットを踏まえ、ザ・ビートルを購入して心から満足できる、後悔しない人の特徴をまとめます。もし、以下の項目に多く当てはまるのであれば、あなたにとってザ・ビートルは最高のパートナーになる可能性を秘めています。

  • ザ・ビートルの唯一無二のデザインを心から愛せる人
  • 実用性よりも趣味性やライフスタイルにおける個性を重視する人
  • メインのファミリーカーとは別のセカンドカーとして割り切って所有できる人
  • ある程度の維持費や年間数十万円単位の突然の出費を許容できる経済的余裕がある人
  • 2ドアの不便さや狭い後部座席といったデメリットを自身のライフスタイル上、問題なく許容できる人
  • 効率や速さだけでなく、クルマを走らせるプロセスそのものを楽しみたいと考えている人
  • 信頼できる整備工場や専門ショップを自分で見つけ、良好な関係を築く努力を惜しまない人
  • クルマの小さな不具合やクセも「味」や「個性」として楽しめるくらいの寛容さがある人
  • 街中で周囲の視線を集めることや、目立つことをネガティブではなくポジティブに捉えられる人
  • 中古車購入の際に、リコール情報や過去の整備履歴を自分の目でしっかりと確認できる人
  • トラブルが比較的少ないとされる2016年以降の後期型モデルを選ぶなど、賢い個体選びができる人
  • 国産車と同じ感覚を求めず、輸入車の文化や特性を理解し、受け入れられる人
  • 雨の日のトランクの水濡れ対策など、クルマの「仕様」に対して自分で工夫して付き合える人
  • 短期的なリセールバリューに一喜一憂せず、長期的な視点でクルマとの関係を築きたいと思える人
  • もしかしたら将来価値が上がるかもしれない、というロマンや将来的な値上がりの可能性に魅力を感じる人