プリウスα(アルファ)の実燃費は、平均は18~20km/L程ですが、街乗りや運転スタイルによって大きく変動します。
購入を検討する上で、グレードや歴代モデルによる燃費の違いや、特に利用シーンの多い街乗りでの実際の性能は気になりますよね。また、燃料のタンク容量から計算して満タンで何キロ走るのか、そして年間の維持費に直結するガソリン代も、事前に把握しておきたい重要なポイントです。
この記事では、実際のオーナーによる口コミや評価を基に、プリウスα(アルファ)の実燃費を徹底的に掘り下げます。さらに、ライバル車と目されるシエンタやフリードとの燃費の比較、そして今や主流となった中古での購入を考える際の注意点まで、あらゆる角度から詳しく解説していきます。
- プリウスαのグレード別・走行シーン別の実燃費
- ライバル車との燃費性能や年間の維持費の違い
- 中古車選びで失敗しないための具体的な注意点
- 燃費が悪化する原因とその見極め方
目次
プリウスα(アルファ)の実燃費をデータで徹底解剖
- プリウスα(アルファ)の気になる実燃費
- 燃費はグレードや歴代モデルで違う?
- 街乗りでの実燃費はどのくらいか?
- 燃料タンク容量
- 満タンで何キロ走るのか計算
- 年間の維持費としてのガソリン代
- 「燃費16km」という口コミ評価の真相
プリウスα(アルファ)の気になる実燃費
プリウスα 実燃費の目安 | |
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平均的な実燃費 | 18.0km/L ~ 20.0km/L |
良好な条件下(郊外・高速) | 20.0km/L以上 |
厳しい条件下(街乗り・渋滞) | 13.0km/L ~ 17.0km/L |
プリウスαの実燃費は、多くのオーナーからの報告や燃費記録サイトのデータを総合すると、おおむね18.0km/L~20.0km/Lの範囲に集約されることが一般的です。これは、公式な燃費指標の一つであるJC08モードカタログ燃費の26.2km/Lに対して、達成率が約70%~76%に相当します。実際の道路状況や天候、エアコンの使用などを考慮すると、これはハイブリッド車として平均的かつ良好な数値と言えるでしょう。
もちろん、この数値はあくまで平均値であり、運転スタイルや走行環境によって大きく変動します。例えば、信号が少なく一定の速度で巡航できる郊外の道や、流れの順調な高速道路では、燃費計が22km/Lを超える数値を記録することも決して珍しくありません。逆に、渋滞が頻発する都市部での走行や、一回の走行距離が極端に短い「チョイ乗り」が多い場合は、燃費が悪化する傾向が強まります。
プリウスαの実燃費の目安
平均的な実燃費は18.0km/L~20.0km/Lあたりが中心です。カタログに記載されている数値だけを鵜呑みにするのではなく、ご自身の主な利用シーンを想定しながら、これらの実燃費データを参考にすることが、購入後の満足度に繋がる重要なステップになります。
ハイブリッド車は、減速時のエネルギーを電気として回収し(回生ブレーキ)、その電気を使ってモーターで走行アシストを行うことで燃費を稼ぐ仕組みです。そのため、アクセルやブレーキの操作をいかに穏やかに行うかが燃費向上の鍵を握ります。一部のオーナーからは24km/L以上の驚くべき燃費報告もあり、ドライバーの乗り方次第でそのポテンシャルを最大限に引き出せる車であることがうかがえます。
燃費はグレードや歴代モデルで違う?
プリウスαの燃費性能は、一見するとどのモデルも同じように思えますが、実際にはグレードによる乗車定員の違いや、歴代モデル(前期型・後期型)によって、細かな特性の違いが存在します。購入モデルを選ぶ上で重要な判断材料となるため、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
乗車定員(5人乗りと7人乗り)による違い
プリウスαの大きな特徴の一つが、5人乗り(2列シート仕様)と7人乗り(3列シート仕様)の2つのパッケージを選べる点です。この2つのモデルは、単にシートの数だけでなく、搭載されている駆動用バッテリーの種類と配置が異なります。
- 5人乗りモデル:比較的安価で実績の豊富な「ニッケル水素バッテリー」を荷室の床下に搭載しています。
- 7人乗りモデル:3列目シートのスペースを確保するため、よりコンパクトでエネルギー密度の高い「リチウムイオンバッテリー」を運転席と助手席の間のセンターコンソール下に搭載しています。
このバッテリーの違いが、車両重量や前後の重量バランスに影響を与えます。一般的に、7人乗りの方がわずかに車両重量が重くなりますが、バッテリーの充放電効率ではリチウムイオンバッテリーに分があるため、実燃費ではほぼ同等か、状況によっては7人乗りの方が若干良い数値を記録するという声も見られます。ただし、その差は体感できるほどのものではなく、燃費性能を理由に乗車定員を選ぶ必要はほとんどないと言えるでしょう。
歴代モデル(前期型と後期型)による違い
プリウスαは、約10年のモデルライフの中で、2014年11月に一度大きなマイナーチェンジを実施しています。この変更点を境に、それ以前のモデルを「前期型」、以降のモデルを「後期型」と呼び分けます。
モデル | 販売期間 | 主な特徴と変更点 |
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前期型 | 2011年5月~2014年10月 | 発売当初のオリジナルデザイン。基本的なハイブリッド性能を備え、中古車価格が非常に手頃な点が魅力。 |
後期型 | 2014年11月~2021年3月 | よりシャープな印象のフロントマスクに変更。衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense」がオプションで設定され、安全性能が向上。 |
重要な点として、このマイナーチェンジではハイブリッドシステムそのものに大きな変更は加えられませんでした。そのため、カタログ燃費(JC08モード:26.2km/L)は前期型・後期型で全く同じです。したがって、純粋な燃費性能において歴代モデルによる劇的な差はないと考えて問題ありません。中古車を選ぶ際には、年式による価格差と、後期型で選択可能になった先進安全装備の有無を、自身の予算やニーズと照らし合わせて判断することが賢明です。
街乗りでの実燃費はどのくらいか?
走行シーン別 実燃費の比較 | |
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街乗り(市街地) | 渋滞や短距離走行が多く、13.0~17.0km/Lと燃費が悪化しやすい。 |
郊外 | 信号が少なく一定速度で走りやすいため、20.0km/L前後を期待できる。 |
高速道路 | 時速80~100kmの巡航で最も効率が良く、21.0km/L以上も可能。 |
プリウスαをファミリーカーや日常の足として検討している方にとって、最も現実的な走行シーンである「街乗り」での実燃費は、購入を決定づける最重要項目の一つです。通勤や買い物、子供の送迎といった市街地での走行は、信号や渋滞によるストップ&ゴーが多発するため、車にとって最も燃費が悪化しやすい環境です。
実際のオーナーからの報告や口コミを分析すると、街乗り中心の場合、実燃費はおおよそ13.0km/L~17.0km/Lの範囲に収まるケースが多いようです。特に、エンジンが十分に温まる前の短距離移動の繰り返しは、燃費にとって非常に厳しい条件となります。また、夏場のエアコン使用時はコンプレッサーを動かすために、冬場の暖房使用時はエンジンを積極的に作動させるために、それぞれ追加で燃料を消費し、燃費悪化の直接的な原因となります。
ハイブリッド車の真価が問われるのが街乗りですね。プリウスαは発進時にモーターが力強くアシストし、減速時にはそのエネルギーをバッテリーに回収します。このサイクルをいかにスムーズに行えるかが、燃費向上のコツです。渋滞で長時間停止する場合はエンジンを停止させますが、ノロノロ運転が続くと充電と放電を繰り返し、かえって効率が落ちることもあります。
一方で、交通の流れが比較的スムーズな幹線道路などを走行する場合は、燃費は18km/L以上に大きく改善します。プリウスαのインパネには、現在の燃料消費率を示す「瞬間燃費表示」や、走行中のエネルギーの流れを示す「ハイブリッドシステムインジケーター」が装備されています。これらを常に意識し、アクセルペダルを優しく踏み込み、モーターだけで走行するEV走行の領域をいかに長く保つかをゲーム感覚で楽しむことが、街乗り燃費を向上させる一番の近道と言えるでしょう。
燃料タンク容量
プリウスαの燃料タンク容量は、発売から生産終了まで、全てのグレードおよび5人乗り・7人乗りの仕様を問わず、一貫して45Lに設計されています。この容量は、プリウスαが属するステーションワゴンやミニバンのカテゴリーにおいては、ごく標準的なサイズです。
一見すると特筆すべき点のない数値に思えるかもしれませんが、この45Lというタンク容量は、プリウスαが持つ優れた燃費性能と掛け合わされることで、非常に長い航続距離を生み出すための基礎となっています。一度の給油で長く走れることは、給油の手間や回数を減らし、日々の使い勝手を向上させるだけでなく、特に高速道路などを使った長距離移動時において、給油計画の自由度を高め、精神的な安心感にも繋がる重要なスペックと言えます。
豆知識として、プリウスαのベースとなった3代目プリウス(ZVW30型)の燃料タンク容量も全く同じ45Lでした。ボディサイズが拡大し、車両重量も増加したプリウスαにおいて、同等のタンク容量を維持しつつ、実用的な航続距離を確保している点は、トヨタの設計思想の表れとも言えるでしょう。
満タンで何キロ走るのか計算
「この車は満タンでどこまで行けるのか?」というのは、特に長距離を移動する機会のある方にとっては、非常に現実的で重要な関心事です。プリウスαの優れた燃費性能が、実際の航続距離としてどれほどの能力を発揮するのかを計算してみましょう。
航続距離を算出する計算式は、以下の通り非常にシンプルです。
航続距離(km) = 燃料タンク容量(L) × 実燃費(km/L)
プリウスαのタンク容量は45Lですので、これに想定される実燃費を掛け合わせることで、おおよその航続距離を導き出すことができます。
走行状況(実燃費の想定) | 計算式 | 航続距離の目安 |
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街乗り中心(16.0 km/L) | 45L × 16.0 km/L | 約720 km |
平均的な走行(19.5 km/L) | 45L × 19.5 km/L | 約877 km |
高速・郊外中心(21.0 km/L) | 45L × 21.0 km/L | 約945 km |
この計算結果からわかるように、プリウスαは平均的な乗り方でも満タンで800km以上の航続距離を十分に期待できます。これは、例えば東京から岡山県岡山市(約680km)まで無給油で到達できる計算になります。燃費の良い運転を心がければ、900kmを超える走行も現実的であり、給油の頻度を大幅に減らすことができるため、時間的にも経済的にも大きなメリットをもたらします。
年間の維持費としてのガソリン代
自動車を所有する上で、税金や保険料と並んで維持費の大きな柱となるのが日々のガソリン代です。プリウスαの経済性の高さを具体的に把握するため、年間の走行距離に応じたガソリン代をシミュレーションしてみましょう。
ここでは、プリウスαの平均実燃費を「19.0km/L」と仮定し、レギュラーガソリンの価格は経済産業省資源エネルギー庁の調査を参考に「175円/L」として計算します。
年間走行距離別のガソリン代シミュレーション
年間走行距離 | 年間に必要なガソリン量(目安) | 年間のガソリン代(目安) |
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5,000 km(週末の買い物などが中心) | 約 263 L (5000 ÷ 19.0) | 約 46,025 円 (263 × 175) |
8,000 km(日常の足+時々の遠出) | 約 421 L (8000 ÷ 19.0) | 約 73,675 円 (421 × 175) |
10,000 km(通勤やレジャーで頻繁に利用) | 約 526 L (10000 ÷ 19.0) | 約 92,050 円 (526 × 175) |
シミュレーションの結果、年間10,000kmを走行したとしても、年間のガソリン代は10万円を下回る可能性が高いことがわかります。同クラスの純ガソリンエンジンを搭載したミニバン(実燃費10~12km/L程度)と比較した場合、年間で5万円以上の燃料費を節約できる計算になり、プリウスαの経済的なメリットがいかに大きいかが明確になります。
このシミュレーションは、あくまで特定の条件下での目安です。実際のガソリン価格やご自身の運転スタイル、走行環境によって金額は変動します。また、車の維持費にはこの他に、自動車税(1.8Lエンジン搭載車の場合、年額39,500円または36,000円)、任意保険料、車検費用、定期的なメンテナンス費用などが別途必要になることをご留意ください。
「燃費16km」という口コミ評価の真相
実燃費が16km/L台まで悪化する主な要因 | |
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交通環境 | 慢性的な渋滞やストップ&ゴーの多い市街地での走行。 |
走行距離 | エンジンが温まる前の短距離走行(チョイ乗り)の繰り返し。 |
季節・天候 | 冬場の暖房使用や夏場のエアコン多用。 |
運転スタイル | 急加速・急ブレーキの多用や、高速道路での速度超過。 |
メンテナンス | タイヤの空気圧不足、エンジンオイルの劣化など。 |
プリウスαのオーナーレビューや口コミサイトを調べていると、「思ったより燃費が伸びず、16km/L台だった」といった、やや期待外れとも取れる評価を目にすることがあります。この評価の真相は、決して車両の不具合や誇張ではなく、特定の条件下においては十分に起こり得る現実的な数値である、ということです。
プリウスαの燃費が16km/L台まで落ち込んでしまう主な原因は、ハイブリッドシステムの効率が低下する特定の状況が重なった場合に考えられます。
燃費が悪化しやすい主な要因
- 過酷な交通環境:慢性的な渋滞エリアでの走行や、ストップ&ゴーを極端に繰り返す都市部での運転。
- 短距離走行の多用:エンジンやハイブリッドシステムが完全に暖まる前に数キロで目的地に到着するような「チョイ乗り」の繰り返し。
- 季節的要因:特に冬場の寒い時期は、暖房のためにエンジンが強制的に始動する時間が長くなり、著しく燃費が悪化します。
- 運転スタイル:アクセルを強く踏み込む急加速や、無駄な加減速の多い運転は、ハイブリッドの利点を全く活かせません。
- 高速道路での高速巡航:一般的に時速100kmを超えると空気抵抗が急増し、燃費は徐々に悪化していく傾向にあります。
- 車両のメンテナンス状況:タイヤの空気圧不足や、指定外のエンジンオイルの使用、エアクリーナーの汚れなども燃費悪化に繋がります。
つまり、「燃費16km/L」という数値を単体で見て「この車は燃費が悪い」と結論づけるのは早計です。どのような使い方、どのような環境でその数値になったのかという背景を理解することが非常に重要になります。もしご自身の利用スタイルが上記のような厳しい条件に多く当てはまる場合は、この数値を一つの現実的な目安として想定しておくと、購入後のギャップを減らすことができるでしょう。
購入前に見るプリウスα(アルファ)の実燃費と注意点
- シエンта・フリードとの燃費を比較
- 燃費が悪い原因はバッテリー劣化?
- 中古はなぜ安い?
- 中古購入はおすすめ?買うべきか?やめたほうがいい?
- 中古で買う場合の燃費はどのくらい
- まとめ:プリウスα(アルファ)の実燃費と賢い選び方
シエンタ・フリードとの燃費を比較
プリウスαの中古車を検討する際、多くの方が比較対象として挙げるのが、同じトヨタの「シエンタ」や、ライバルであるホンダの「フリード」といったコンパクトミニバンです。ボディサイズは一回り小さくなりますが、3列シートを選べるなど共通点も多くあります。それぞれの燃費性能や特徴を多角的に比較してみましょう。
項目 | プリウスα | シエンタ (2代目ハイブリッド) | フリード (2代目ハイブリッド) |
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ボディタイプ | ステーションワゴン/ミニバン | コンパクトミニバン | コンパクトミニバン |
カタログ燃費 (WLTC) | 20.7 km/L | 28.2~28.8 km/L | 20.9 km/L |
実燃費 (目安) | 約18~20 km/L | 約20~23 km/L | 約17~19 km/L |
全長 | 4,630 mm | 4,260 mm | 4,265 mm |
全幅 | 1,775 mm (3ナンバー) | 1,695 mm (5ナンバー) | 1,695 mm (5ナンバー) |
最小回転半径 | 5.5 m~ | 5.2 m | 5.2 m |
特徴 | ワンランク上の室内空間と荷室。落ち着いた走行性能。 | クラス最高の燃費性能。取り回しの良いコンパクトなボディ。 | 「ちょうどいい」サイズ感。ウォークスルーなど優れた室内ユーティリティ。 |
燃費性能に注目すると、より新しい世代の効率的なハイブリッドシステムを搭載しているシエンタが、カタログ燃費・実燃費ともにプリウスαを上回っています。一方、フリードのハイブリッドシステムはプリウスαと同等か、走り方によってはやや下回る燃費性能となります。
単純な燃費数値だけを見ればシエンタに軍配が上がります。しかし、プリウスαにはそれを補って余りある3ナンバーボディならではの室内の広さ、特に横幅のゆとりや、広大で使い勝手の良い荷室、そして長距離でも疲れにくい落ち着いた乗り心地という、代えがたい大きなメリットが存在します。燃費だけでなく、取り回しのしやすさ(最小回転半径)、家族構成、荷物の量などを総合的に考慮し、ご自身のライフスタイルに最もフィットする一台を選ぶことが重要です。
燃費が悪い原因はバッテリー劣化?
駆動用バッテリー交換の目安 | |
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交換時期の目安 | 走行距離15万km~20万km、または初度登録から10年以上。 |
交換費用の目安 | ディーラーでの純正品交換で約15万円~20万円程度。 |
中古のプリウスαを検討する上で、避けては通れないのが「駆動用バッテリーの劣化」という問題です。そして、このバッテリーの劣化は、燃費が悪化する最も大きな原因の一つとなります。
駆動用バッテリーは、スマートフォンのバッテリーと同じように、充放電を繰り返すことで徐々に性能が低下していきます。性能が劣化したバッテリーは、電気を十分に蓄えたり、力強く放出したりする能力が弱まります。その結果、これまでモーターだけで走行できていた場面でもすぐにエンジンが始動してしまったり、エンジンによる発電の頻度が増えたりするため、燃費が目に見えて悪化してしまうのです。
バッテリー交換の目安と費用
バッテリーの寿命は乗り方によって大きく異なりますが、一般的には以下の期間や距離が交換を検討する一つの目安とされています。
- 交換時期の目安:走行距離15万km~20万km、または初度登録から10年以上が経過した車両。
- 交換費用の目安:ディーラーで純正の新品バッテリーに交換する場合、部品代と専門的な交換工賃を合わせておおよそ15万円~20万円程度の費用がかかります。費用を抑えるために、リビルト品(再生品)を選択する方法もありますが、品質や保証内容を十分に確認する必要があります。
中古車を購入する際は、このバッテリーの健康状態が車両価値を左右する最も重要なチェックポイントです。メーターパネルにハイブリッドシステムの異常を示す警告灯が点灯していないかは最低限の確認事項です。可能であれば、販売店のスタッフに依頼し、診断機でバッテリーの劣化状態をチェックしてもらうか、整備記録簿で過去の交換履歴の有無を確認することを強く推奨します。
中古はなぜ安い?
プリウスαの中古車情報を検索すると、その広い室内空間や実用性を備えた車格の割に、比較的リーズナブルな価格で販売されている個体が多いことに気づくでしょう。これには、主に3つの明確な理由があります。
1. 生産終了した「型落ち」モデルであること
プリウスαは2021年3月をもって、約10年間の歴史に幕を下ろしました。直接的な後継モデルも登場しなかったため、市場においては完全に「過去のモデル」という位置づけになります。自動車は新しいモデルが登場すると旧モデルの価値が下がるのが常であり、プリウスαもその例に漏れず、年々価格が下落しやすい状況にあります。
2. 中古車市場での流通台数が非常に多いこと
現役時代はファミリー層を中心に絶大な人気を誇り、販売台数も非常に多かったため、中古車市場には常に豊富な数のプリウスαが流通しています。経済の原則として、供給量が多ければ価格は安定し、時には供給過多となって価格競争が起こりやすくなります。この豊富なタマ数が、購入者にとっては選びやすく、かつ手頃な価格帯を形成する大きな要因となっています。
3. ハイブリッドシステム固有の懸念
前述の通り、年式が古くなったハイブリッド車には、駆動用バッテリーの寿命という大きな懸念がつきまといます。購入者は将来的に発生する可能性のある高額な修理費用(バッテリー交換など)を無意識のうちに車両価格から差し引いて価値を判断します。そのため、特に走行距離が10万kmを超えた車両や、年式が古い車両は、このリスク分が価格に反映され、安く販売される傾向が強まります。
つまり、「安い」のには、市場原理に基づいたしっかりとした理由があるわけです。これらの背景を正しく理解し、車両の状態、特にハイブリッドシステムの健康状態をきちんと見極める目を持てば、プリウスαの中古車は非常にコストパフォーマンスの高い選択肢となり得ます。
中古購入はおすすめ?買うべきか?やめたほうがいい?
中古プリウスα 購入判断のポイント | |
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買うべき・おすすめな人 | やめたほうがいい人 |
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それでは、最終的に中古のプリウスαは購入する価値のある車なのでしょうか。これは、「何を重視するか」という購入者の価値観やライフスタイルによって、その答えが「買うべき」にも「やめたほうがいい」にも変わってきます。
中古プリウスαが「おすすめ」な人、買うべき人
- コストを抑えつつ、広い室内と荷室が欲しいファミリー層:現行の新車ミニバンやステーションワゴンに数十万円も多くの予算をかけずとも、遜色のない広さと実用性を手に入れることができます。
- プリウスα独特のデザインやゆったりした乗り心地が好きな人:燃費性能だけでなく、流麗なスタイリングや、角の取れたマイルドな走行フィールに魅力を感じる方にとっては、他に代えがたい選択肢となります。
- 将来的なメンテナンス費用を計画的に考えられる人:購入後の維持費として、万が一のバッテリー交換費用などをあらかじめ予算に組み込んでおける方であれば、安心して長く乗ることが可能です。
中古プリウスαを「やめたほうがいい」かもしれない人
- 常に最新の燃費性能や先進安全装備を求める人:現行のハイブリッド車と比較すると、燃費効率や衝突被害軽減ブレーキなどの安全技術はどうしても見劣りします。
- 購入後の予期せぬ出費や故障のリスクを極力避けたい人:機械である以上、年式が古く走行距離が伸びた中古車は、新車に比べて故障のリスクが高まるのは避けられません。
- リセールバリュー(再販価値)を重視する人:すでに生産が終了し、市場に多数流通しているモデルのため、数年後に売却する際に高い査定額を期待するのは難しいでしょう。
中古で買う場合の燃費はどのくらい
中古のプリウスαを手に入れたとして、その実燃費はどの程度を期待して良いのでしょうか。これは、その個体のコンディション、特にハイブリッドシステムとエンジンの健康状態に大きく左右されます。しかし、一つの目安として、前のオーナーによって適切にメンテナンスされてきた車両であれば、新車時と遜色ない18.0km/L~20.0km/L程度の実燃費を維持しているケースが多数です。
実際に多くの中古車オーナーの口コミを見ても、走行距離が10万kmや12万kmを超えていても、平均燃費20km/L近くをキープしているという喜びの声は少なくありません。これは、トヨタのハイブリッドシステム(THS II)が非常に高い耐久性を持つことの証左でもあります。
中古車選びで最も重要なのは、走行距離や年式といった表面的なスペックだけでなく、「その車がこれまでどのように扱われてきたか」という“履歴”です。具体的には、定期的なエンジンオイル交換や、ハイブリッドシステムの点検がきちんと実施されてきたかが鍵となります。
これを確かめる最も確実な方法は、「点検整備記録簿」の確認です。信頼できる販売店であれば、必ず保管されているはずなので、購入を決める前に必ず見せてもらいましょう。オイル交換が適切な周期で行われているか、過去にハイブリッド関連の修理歴はないかなどをチェックすることで、その車のコンディションを深く知ることができ、購入後の燃費性能をある程度予測することが可能になります。
「プリウスα(アルファ)の実燃費を徹底解説!知るべき注意点と失敗しないコツ」のまとめ
- プリウスαの平均実燃費は18km/Lから20km/Lが目安
- カタログ燃費は26.2km/Lだが達成率は7割程度
- 街乗りでは交通状況により13km/Lから17km/Lに変動
- 7人乗りは小型のバッテリー搭載で燃費に大きな差はない
- 前期型と後期型で燃費性能に決定的な違いはない
- 燃料タンク容量は全グレード共通で45L
- 満タンからの航続距離は800km以上が期待できる
- 年間のガソリン代は1万km走行で9万円前後が目安
- 燃費16km/L台は冬場や渋滞などの条件下では起こりうる
- ライバル車シエンタの方が燃費性能では優位
- フリードとは同等かややプリウスαが優れる傾向
- 燃費悪化の大きな原因に駆動用バッテリーの劣化がある
- バッテリー交換費用は15万円から20万円が相場
- 中古車が安い理由は生産終了と流通台数の多さ
- 広い室内を安価に求めるなら中古購入はおすすめ